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土木学会12月号の「被災地からの発信」に寄稿して
被災経験からもっと学び、もっと情報共有化を

2013 年 12 月 4 日

土木学会12月号の「被災地からの発信」に、「被災首長から学ぶ災害対応の知恵」を寄稿した。

地震活動期にある日本では、発災後の復旧・復興を迅速に効率的に進めるための”被災自治体の知恵袋”と言えるような情報集積・共有化が欠かせない。東日本大震災の被災市町村で、どのような情報・経験が共有化されたのか?あるいはされなかったのか?また、共有した情報がもたらした効果等を紹介することによって、被災自治体の知恵を共有化する仕組みづくりを進めるべきと訴えるのが目的だった。初動だけでなく、今日の復興期の課題やそれらに対する知恵--たとえ小さくても--市町村間できちんと共有してほしいという願いもあった。

取材に行ったのは今年5月、対象は被災市町村首長7人。残念ながら、復興期の今の知恵を情報収集するには及ばなかった。

取材では、すでに知られている「がれき処理」や「住民への情報伝達」やその他の対応だけにとどまらず、初動期の心情を語ってくれた首長もいた。住民や部下を多数死なせてしまった責任感と喪失感、どんどん迫られる決断。その重責と孤独感で食事も喉を通らなかったのは想像に難くない。しかも、彼らも被災者だ。

彼らが味わったとてつもない焦燥感や孤独感がほとんど伝えられていないことに気づいた。

残念ながら、当時のマスコミは記者発表で死者や不明者などの被害発表をたんに聞くのみで、首長の心境を取材したのはニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー(『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』著者)だけだった。

この寄稿を通じて、被災首長の知恵の共有化を進める動きが加速することを願う一方で、彼らが何をどう感じ、どうしたのか、もっと掘り下げてみたいと思うようになった。それは<次>に備える全国1742市町村長の災害対応のバイブルになるだけでなく、企業経営の危機管理にも通じるに違いない。

※ぼんやりしたタイトルです・・・。

 

”みんながしている”お辞儀

2013 年 10 月 28 日

ちょっと前から、世間でみるお辞儀がどうも気色悪い。

飲食店でも、スーパーでも、テレビでも、両手をお腹にあてて頭を下げる。

ちなみに「お辞儀の仕方」でググってみたら、いちばんはじめに出現したのが、この気色悪いお辞儀を教えるYouTuveだった。

一朝一夕で日本のお辞儀スタイルが変わるはずはないのだが・・・。

このお辞儀は韓国式であるそうな。韓国女性の民族服チマチョゴリは胸のあたりから膨らんでいるから、お腹のあたりで押さえるという合理的な習慣から来ているだろう。

そういう民族服を着たときならよいが、洋服や和服ではお辞儀の角度に合わせて両手を自然に前におくのが、日本のお辞儀スタイル。スマートにできる合理的なスタイルでもある。

先日、R銀行の案内の女性がうやうやしくこの韓国式をやってくれたので、ちょっと聞いてみた。

「そのお辞儀の仕方はどこかで習ったのですか?」

「みんながしているので、見習いました」

「”みんな”とはいったい誰のことか」とツッコミは入れなかったが、韓国式であることを教えたら、もとの日本式お辞儀にもどしますと、素直に言ってくれた。

”みんながしている”という理由で学んだ気になって取り入れる--だいたい”みんながしている”ことはやめておいた方がいいことが多いのだ。

 

 

忘れない!

2013 年 10 月 4 日

東北地方整備局「震災伝承館」の動画を「東日本大震災 国道の監視カメラは見た」とタイトルを変えて、今年4月にYOU TUVEにアップした。本家はまだ6000回に届いてないのに、こちらは65万回再生されている。で、“閲覧者からコメントが入ったよ”とお知らせメールがよく来るので、再生回数を確認する目的でポチッ。すると、ついつい画面横に表れる大震災の関連映像を見てしまう。

津波被害映像はさることながら、いつも気になるのは原発事故。昨夜も数本見た後、元東電社員で原子力技術者の木村俊雄氏の映像に到達した。「東電福島原子力事故におけるプラントの評価手法の問題点について」今年の7月に記者発表したときの模様だ。木村氏は優秀な技術者。チェ・ゲバラのTシャツも「賢い」印象に輪をかける。

http://www.youtube.com/watch?v=E0vuaqOYFZ0

木村氏の主張は、原発事故は地震が原因だった可能性があるにも拘わらず、東電・政府とも津波のせいにしているのではないか、というもの。事故原因は地震で原子炉格納容器内の小規模配管が破断したことと考えられるが、破断を示すはずの原子炉の記録(100分の1秒単位の記録装置があるらしい!)など肝心の資料を公表していない、という。東電に公開質問状を提出したが、誠実な回答はなかったようだ。

関連して、カネボウ化粧品の白斑事件にぶちあたった。カネボウによる第三者調査では、最初に白斑症状に関する情報があったのは平成23年10月。翌年7月以降、同様の問い合わせが増えていく。数人の顧客が大学病院などで診察を受けたところ「甲状腺炎による尋常性白斑」と診断され、「因果関係は断定できないが、発症の素因を持ち、化粧品がトリガーになった可能性がある」と告げられたという。発症の素因を放射能汚染に求める人もいるだろう。

少なくともフクイチ原発事故はまだまだ進行中であることを、忘れない!

 

土木技術者の精神性

2013 年 9 月 7 日

土木学会全国大会なるものを視察した。

9月4日から6日までの3日間に延べ20000人が今年の会場・日本大学生産工学部にやって来た。

参加費10000円(事前、当日は12000円、非会員は20000円)を払った人は約4000人だったという。

力学系、水系、土系、計画・交通系、材料系、事業計画や保全、マネジメント系、環境系の7部門と、これらの部門を横断的に関連した共通セッションが13テーマ(教育や地下空間利用など)で、あわせて2695論文が発表された。ほかに27のテーマで研究討論会が開催され、基調講演会・特別講演会、全体討論会に加えて、来年の土木学会100周年を記念する討論会もあった。とにかく、ぎょうさん、あちこちで同時並行に講演会が行われた。

土木学会には、京大土木教室100周年シンポジウムを手伝ったときに「入っておいたほうが情報も取りやすい」とのアドバイスで入会。以来、やめる理由も続ける特段の理由もないまま継続してきた。当方のような門外漢会員は希少種、約36000人の会員は産官学の土木オヤジばかりだ。

 

100周年記念討論会で、前々から気になっていたこと、土木技術者たるものへの思いを代弁してくれる発言にいくつか出くわした。

 

「できない」とか「技術では限界がある」と

きちんと言える人間性・精神性を持っていなければならない。

 

「”そこまでできません”とは言えない」とか、伝えるべきことを100%伝えずにお茶を濁した話しなどは、今まで色んな人たちから聞いてきた。

その度に「なんでや!」と問い、

「そんなん言うたら、次に何を言われるかわかれへん」などの不甲斐ない答えが返ってくることがあった。

「理不尽な要請やケッタイな言いがかりをつけられても、きちんと誠実に対応すればなんということもないはず」・・・反論しても、悲しいかな、当方は現場を知らない。魑魅魍魎がうずまく世界も知らないから、そこまでしか言えなかった。

しかし、誠実に正確な情報を伝えることは、すべての基本だ。それが公共に関することであればなおさらである。ヤカラの住民がまともな人たちに駆逐される場面も見てきた。「できない」と言い切ることができる人間性・精神性が求められるのだ。

 

藤井聡教授の叫び(?)の一端を以下に紹介する。

「土木技術者はambivalent(アンビバレント)な絶対矛盾を乗り越える宿命を負っている。

土木技術者は(どんな驚異を内在しているかわからない自然に対して働きかける技術に)限界があるとわかっているはず(であり、限界があることを正確に伝えねばならない)。アンチテーゼからシンテーゼに行こうとするときには、根性、気合い、精神の力量がないとできない。従って土木技術者には、ものすごい”どてらい奴”しかなれない。土木技術者にはこういう意味が込められている。」

現役土木オヤジたち、

これから土木をめざす若者よ、ぜひ”どてらい奴”になろう。

 

 

土木学会100周年
失ったものへの反省と、土木の品格、誇りはどこに?

2013 年 7 月 15 日

世界最大の学会と言われる土木学会。
2000年「土木の日イベント」の業務のあと、非会員ながら市民幹事に任命され、T山先生の誘いでFCC委員にもなった。
その後、京大土木100周年事業のひとつ、人物誌をテーマにしたシンポジウムを手伝うことになり、”入ってたら便利やで”と勧められて会員になった。

そして今年、100周年に実施する全国大会の広報委員になった。これもT山先生の誘いだ。

1回目の委員会の後、100周年記念サイトを閲覧。
ひぇ~、100周年のテーマに驚いた。

「豊かな暮らしの礎をこれまでも、これからも」

なんでんねん、これ!?
ながらく「この国のかたち」を議論せず、対処的な対応に終始してきた土木人としての反省、公共投資がマスコミ攻撃の的になったのに布団を被って寝ていた反省がまったく欠落している。
かつ、土木(築土構木)は「民を安んじる」ための仕事であるという誇りも、品格もない。
意気込みも感じられない。

と、F井先生に愚痴メールしたら「最悪!」と強い同意をもらった。

百歩譲って、一般市民にわかりやすくという狙いとしたところで、コピーとしてもNGだ。(わかりやすいことと品格や意気込みがあることは、まったく別ものだ)

よっしゃ、
全国大会のテーマは、腑抜けな100周年を補うべく、崇高なテーマを提案したろ!・・・と、思っています。=*^-^*=

 「スピード感を持って対応願いたいと思います」

2013 年 4 月 19 日

「スピード感を持って対応願いたいと思います」

なんど聞いても慣れないし、慣らされてはならない。
「スピード感」とはなんぞや。

某転職紹介サイトでは「物事を速く、的確に判断し、決断を下す能力のことを表し、計画を迅速に実行に移す能力を指す場合に良く使われます」。はてなキーワードサイトでは「意志決定などが早く、迅速に物事を進める様子。政治の文脈では、えてして、中身は無く、見せかけを重視する人たちがよく使う」。これ以上言うことはない。

「願いたいと思います」は、「願いたい」には希望の思いが込められているし、さらに「思います」をつけるのは二重表現だ。「私が勝手に希望しているだけですよ」との意か?優しくやんわりとした表現を装うためか?

まともな日本語なら「迅速な対応を願います」でよい。

スポーツ選手の「がんばりたいと思います」も同様だ。「がんばろうと思うが、がんばれないこともあります」と、予防線を張っているように聞き取るのは、受け手の性格が悪いからとも言えまい。

この手の表現は巷に溢れているが、鈍感にはなるまいぞ。

誰のために出版する?
『土木学会創立100周年記念 東日本大震災~3.11あの日を忘れないでほしい~』

2013 年 4 月 11 日

土木学会が2年の歳月をかけて取材してまとめた『東日本大震災~3.11あの日を忘れないでほしい~ The Great East Japan Earthquake ~We will never forget 3.11~』が出版されたと、著者のひとりで阪神高速につとめるfacebook友人から連絡をもらった。

発災直後の4月からほぼ毎月のように被災地に出向き、岩手県久慈市から福島県いわき市までと千葉県を含め42の被災自治体職員延べ152人を取材したという。

で、アマゾンで購入しようと探したら、おまへん。
へぇ~、流通ルートは土木学会のみだ。
しかも、3990円(会員は3600円)と高い!

ものすごい取材費と労力を投入したに違いない(うらやましい・・・)。しかも、「土木学会創立100周年記念」の出版物らしい。
いったい誰のために出版するのか?誰に読んでほしいのか?
どうせ大赤字(だろう)の事業なのだから、もっと安い価格設定にして広く流通させるべきだ。

--友人によると、アマゾンでも買えるようにと本部と交渉したがダメだったとのこと。

何をか言わんや。

http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2662.htm

出社拒否する首長

2013 年 2 月 18 日

私事で恐縮だが、平成18年3月に大阪市民をやめて、奈良県王寺町民になった。

たまに町役場に行くと、どうも気分が悪くなる。窓口対応というか、システムも悪い。
駅前の町立駐車場を月極で借りたら、便利な下層階がガラガラなのに、月極契約者は6階に駐めさせられるわ、料金高いわ、門限は23時やわ…で、やめた。
駐車場の活性化案を町にメール送信したが、なしのつぶて。
この町は「住民サービス」という言葉など知らないように思えた。
「きっと首長があかんのやろう」と、思っていた。

で、1月末に町長選挙があり、現職は26%しか得票できず、敗退。
ほっとした。

最近、知り合った町議員のおっちゃんたちから聞いた話。
落選後、負けた町長は残る任期22日間、登庁しないと宣言したらしい。「地方自治法152条第1項の規定により、職務代理者をおく」と告示したのだ。
町議会議長に辞職願を出さないのは、自己都合による退職にしないのと同じ論理か。2月分の給与も4年間の退職金1750万円も満額受け取るだろう。 

負けた町長は、全国市町村長会や奈良県市町村長会をはじめ町内外の会合は軒並み欠席だった。「大和川改修促進期成同盟会」で東京出張したが、キオスクで買った缶コーヒー代や朝飯代まで請求した。600万円で公用車を買うた。200万円の町長デスクを買うた。自宅から庁舎まで300メートルに公用車を使う。定時で帰宅しては薬店の店番をしていた…。

いまどき、耳を疑うが、うそではないらしい。

首長とは基礎自治体の長として、まちづくり、住民の暮らしを左右する極めて重要なポスト。
しかし、4年前にこんな町長を選んだのは町民(私はわからなかったので白票を投じた)だ。

この町長の時に大災害が起こっていたら、「人災」によって被害は拡大したに違いない。

いや、どうしていいかわからないから出社拒否するだろう。となると、部下がきちんと働いたかも・・・(笑)。

いずれにせよ、この4年間、王寺町に災害が起こらなかったのは幸いだった。

 

地震考古学

2013 年 2 月 5 日

facebookで地震考古学の講演を聞いたと書いたら、どんなんか教えろとリクエストをもらった。

ということで、
地震考古学の提唱者・寒川旭氏が、今年1月16日に大阪で開催された「防災とボランティア週間」講演会で講演された内容を勝手にまとめてみた。

 

日本全国の遺跡から、記録に残る大地震の隙間を定間隔で補うように、大地震の発生痕跡がぞくぞくと発見されている。

日本列島で発生した過去の大地震は、文字記録から情報を得ていた。

「日本書紀」天武十三年条(684)では、諸国で甚大な被害が発生して道後温泉が出なくなった。「日本三大実録」では、仁和3(887)年7月30日に五畿七道諸国を揺るがす地震が、貞観11(869)年5月26日夜に陸奥国で大地震が発生して津波が多賀城下まで押し寄せたと記録されている。

まとめると、南海地震は684年(白鳳地震M8.4)、887年(仁和地震M8.6)、1099年(康和地震M8.2:2年後に永長地震M8.4)、1361年(正平地震)、1605年(慶長地震M7.9:3つの地震が連動)、1707年(宝永地震M8.6:3つの地震が連動)、1854年(安政地震:安政東海地震M8.4の32時間後に安政南海地震M8.4)、1946年(昭和南海地震M8.0:2年前に東南海地震M8.0)と発生してきた。このうち、684年、887年の南海地震と連動する東海地震は残存する記録にはなかった。また、1498年の東海地震(明応地震M8.6)に連動した南海地震、1099年から1361年の間に巨大地震が発生した記録もなかった。

しかし、684年の南海地震に連動したと考えられる東海地震は、静岡県や愛知県、三重県でその痕跡が、1498年の東海地震に連動したと考えられる南海地震の痕跡も高知県四万十市アゾマ遺跡から発見された。また、1099年から1361年の間は東海・南海地震の空白期だったが、那智勝浦町の川関遺跡で1200年代当初の液状化の地震痕が発見された。

南海トラフ地震年表

西暦表記は文献記録に残る地震、●は遺跡から痕跡が発掘された地震

つまり、東海地震と南海地震は同時あるいは連動して約150年間隔で発生すると考えられる。

一方、活断層による地震は東海・南海地震(南海トラフの巨大地震)が発生する前後に集中して発生している。

818年から仁和地震までの70年間には、貞観地震をはじめ埼玉、秋田、長野、伊豆、山形、越後越中、播磨、関東南部、出雲で大地震が起こった。伏見城が大破した1596年伏見地震、1586年の天正地震などは1605年の慶長地震期のもの。1944年と1946年の昭和南海地震、東南海地震期(約60年間)には関東大震災や濃尾地震が起きている。

9世紀の地震活動期に発生した大地震

19世紀末から20世紀前半の地震活動期に発生した大地震

また歴史的に見ると大地震は時代の変わり目に発生しているように思われる。

日本は1964年の新潟地震から地震の活動期に入ったと考えられ、南海トラフの巨大地震発生の「予定日」以降、どんな日本になるのだろうか。

★ちなみに、地震を「なまず」と記録されている最古の物は、豊臣秀吉の手紙だそうだ。
その手紙には「京都で伏見城をつくるが、なまず対策が大切だ」と、書かれているとのこと。

使命感

2012 年 12 月 9 日

「平成24年度人事院総裁賞受賞者を天皇皇后両陛下が御接見になられることが公表されました。御接見は、来る12月10日午後3時から皇居において賜る予定です。
また、御接見に先立ちまして、同日午前11時15分から明治記念館(東京都港区)において、人事院主催により人事院総裁賞授与式を開催いたします。」

「人事院総裁賞」受賞職域グループ
・東北地方整備局「くしの歯作戦啓開チーム」・「航路啓開チーム」
・東京航空局仙台空港事務所

彼らの使命感に対するご褒美は、こんな形で現れた。

まだまだ知られていない、国交省の記録。
道路チームは「くしの歯作戦」で少し知られているとはいうものの、ほんの一部の人だけだ。
ましてや、港湾チーム、空港チームは、皆無と言ってもいいだろう。

この受賞がしっかりと全国ニュースとして取り上げられ、多くの国民の知るところとなることを祈る。

■「くしの歯作戦啓開チーム」・「航路啓開チーム」受賞理由

http://www.mlit.go.jp/common/000231872.pdf

■仙台空港復旧チーム 受賞理由

http://www.mlit.go.jp/common/000231873.pdf

追伸:
徳山さま!みんなの使命感があわさって、すごいパワーですごい仕事をされました。
その一部を世間に紹介する機会をいただいたことを、心から感謝します。