気鋭の研究者に学び交流する「知」の場。関西から発信する、(妥協しない)高品位な「知」。

‘未分類’ カテゴリーのアーカイブ

紀伊半島大水害
7箇所で水が堤防を超えた熊野川

2012 年 11 月 13 日 火曜日

新宮市と紀宝町を流れる熊野川は、水位が20メートル上昇した。
堤防から水が溢れる越水は7箇所で起きた。

熊野川とその支川の相野谷川の被害と復旧を案内してくださったのは、新宮川出張所の原田所長。

出張所は熊野川水害対応の前線基地となった。

カメラや水位計が水没してしまい、この表示板は役に立たなくなり、災害の実態を知るには現場に行かねばならなかった。

新宮川出張所の警報表示板

新宮川出張所の警報表示板

 

監視カメラの映像

監視カメラの映像

九州地整局や中部地整局から派遣されたTEC-FORCEがそれぞれ河川と道路の支援にいちばんに来てくれたが、出張所は前もって知らされてなかったという。災害の時はこの手の混乱はつきものだ。

 

まずは熊野川支川でもっとも河口に近い市田川から見学スタート。

市田川が熊野川に流れこむ合流点に水門と排水ポンプが設けられている。このあたりは水も電気も2日間通じなかった。市田川は九州地整局のTEC-FORCEが排水ポンプ車を出動させた。

幸い、市田川では越水も内水被害もなかったという。

市田川水門

市田川水門

しかし、いまでも排水ポンプ車と照明車(近畿地整局のもの)が待機している。

むこうに見える排水ポンプ車

むこうに見える排水ポンプ車

熊野川は護岸が崩壊した。

蓬莱地区はもともと堤防のないところ。ブロック護岸が崩壊したが、応急復旧はせず、河道掘削を行う。目に見える護岸が被災したままの状態なので、市民から「まだか」と言われるらしい。「対策工事を何もしていない」と見えるのは否めない。

川の中や土の中、山の裏手など、人の目に触れないところの工事は「やってまっせ」とアピールするのが難しい。

熊野川の池田地区

熊野川の池田地区

ここはかつて池田港があったところで、どひゃっと洪水がまちに入ってきた。

工事は護岸を強固につくりなおすことだが、今年の台風でまたもや被害にあってしまった。

 

熊野速玉大社の御船祭りの基地・船町は護岸と高水敷がやられた。

高水敷は10月16日の御船祭りにあわせて復旧したが、護岸は応急復旧のまま。

熊野川の池田地区 熊野速玉大社の御船

熊野川の池田地区 熊野速玉大社の御船

応急の護岸対策

応急の護岸対策

堆積土砂

堆積土砂

 

上記の写真はいがんでるが、排水口から上が堆積土砂。ちょうど川が蛇行していて土砂のたまるところだが、それにしても…。

 

越水した相筋地区

越水した相筋地区

熊野川が河口直前で湾曲しているところに位置する相筋地区も、水がまちなかに入ってきた。護岸もえぐられた。
この地区はまちづくりに熱心な住民が多いらしく、この日も住民に呼び止められた。(;へ:)

熊野川の左岸河口は2キロにわたって護岸が崩壊し、管理用通路も滅茶苦茶になった。

護岸工事中

護岸工事中

放置されたままの管理用通路

放置されたままの管理用通路

 

紀伊半島大水害
巨石!和歌山県田辺市熊野(いや)地区

2012 年 11 月 11 日 日曜日

三越から熊野まで2時間。くねくね道を走った。(;へ:)

崩落土砂量は北俣地区の次に小さいが、崩壊地は高さ650メートル、幅410メートル。特徴は崩落土砂が巨石が多いということだ。

熊野の深層崩壊(動画)

こんな巨石がゴロゴロ

こんな巨石がゴロゴロ

土砂ダムによって二つのせき止め湖ができたが、どちらもすぐに埋め戻し、せき止め湖からの越流の心配を取り払った。

他の土砂ダムと同様、仮排水路建設を急ぎ、厚さ5センチのコンクリートで水の道をつくった。

が、今年6月の台風4号でコンクリートに亀裂が入ったため、10センチ厚に増強された。

 

整然と美しい砂防堰堤

整然と美しい砂防堰堤

いま排水路は完成し、その下流に砂防堰堤14基が建設中だ。

完成すれば、美しい土木の風景ができるにちがいない。

排水路と堰堤の材料は崩壊によって発生した巨石。堰堤への活用は、巨石除去と材料調達の一石二鳥だ。作業に欠かせない大型破砕機は、分解して陸路で持ち込んだという。

私の長靴でスケールわかります?流路と堰堤の正体

私の長靴でスケールわかります?流路と堰堤の正体

ここは市道があったため、その復旧ルートにあわせて、崩落斜面の対策を決めるらしい。

今も土石流の24時間監視が続く【ワイヤセンサー】

今も土石流の24時間監視が続く【ワイヤセンサー】

 

紀伊半島大水害
河道閉塞決壊で100年前の河道にもどった三越地区

2012 年 11 月 11 日 日曜日
三越地区の崩落地

三越地区の崩落地

50万立米の土砂が崩落した、和歌山県田辺市本宮町三越地区。

ここは土砂ダムが決壊し、土石流によって奥番集落が壊滅した。

100(123)年前に河道閉塞が起こり、やはり決壊して三越川の流れが変わってしまったが、今回の災害によって流れが元に戻ったという。

 

三越地区パン(動画)

奥番集落はかつて土砂崩落でできた土砂の上に形成された。高台にあった集落のほとんどが今回流されてしまった。紀伊半島大水害では、このような事例が多いらしい。

幸いこの集落では災害前に行方不明者が発生したため村人総出で探索しており、崩落・決壊したときには家に残っていた者はいなかったらしい。これも、災害時に必要な地域コミュニティの力か。

災害後、地元神社の例祭に合わせて地区の「解散式」をしたが、「帰りたい」というおばあちゃんが出現して、一軒だけ住んでいる。

 

ここは残ったダム湖を4.5万立米の土砂で埋め戻し、今は三越川の護岸と崩落地を整備中だ。

新たな河道を整備し、途絶した市道も繋がねばならない。

流失した市道

流失した市道

直径4.5メートルのパイプが水の道

直径4.5メートルのパイプが水の道

三越川はいま直径4.5メートルのコルゲートパイプを流れている。

 

三越川の護岸

三越川の護岸

粛々と工事は進められていたが、今年6月の台風4号でこの写真の白い玉石を入れた籠400個が流された。

その大きさは、写真の中の人と比べると、わかっていただけるだろう。

土石流の破壊力はすさまじい。

もう常識は通じない。

2012 年 11 月 3 日 土曜日

台風12号の記録をまとめる仕事をGETし、全容を理解しないままにパネルをつくった。
東北地整局が博報堂につくらせたパネルは、とても良くできていたから、同等程度のものはつくりたい!

で、「言いたいことは一つ、一発で伝える、ポスターのようなパネルをつくりましょう」との提案が採用された。

全容を知る前にまずパネルをつくることになり、修正しつつもつくったのが、これ。

建設技術展で「もう常識は通じない。」

建設技術展で「もう常識は通じない。」

当初は全体構成を中心に造り込んだが、細々した箇所をチェックしていると、ついつい近視眼的になり、森を見なくなってしまう。
基本的なチェックも怠り、気づいたときは遅かったので、とりあえず建設技術展では「紙」で掲出した。

これから、ちゃあんと軌道修正します。 (;へ:)

建設技術展で「もう常識は通じない。」の土砂ダム「発見。」

建設技術展で「もう常識は通じない。」の土砂ダム「発見。」

 

紀伊半島大水害
ゴロゴロ那智川 その2

2012 年 10 月 28 日 日曜日

蛇ノ谷川

蛇ノ谷川の砂防堰堤建設

蛇ノ谷川の砂防堰堤建設

蛇ノ谷川の工事現場から対岸の平野川の砂防堰堤が見える

対岸の建設現場が見える

対岸の建設現場が見える

鳴子谷川

砂防堰堤があったため、土石流の大半が留まった。

ここでは既設堰堤を利用して、より高く厚みのある砂防堰堤とする。

水通しと呼ばれる中央部は、コンクリートではなく、オープン型にする。

オープン型とは、堰堤の中央が巨大な網になっているもの。しかし、鋼材が腐食するためメンテナンスが必要になるとのこと。

鳴子谷川

ついでに記すと、ダムにはハイダムとローダムがあり、基礎地盤からの高さが15メートルあるかないかで分かれる。

従来ローダムは鉄筋を入れていなかったが、平成に入ってから堰堤の袖部に鉄筋を入れるようになった。

どれも、大下さんに教えてもらった。

コンクリートには鉄筋を通すのが筋だ(!?)と思っている人は、多分建築の感覚だろう。

土木はコンクリートだけで勝負しているものが多い。

護岸もガタガタ

護岸もガタガタ

 

紀伊山地大水害
崩落石でゴロゴロの那智川

2012 年 10 月 25 日 木曜日

樋口川

河川は下流に向かって右手が右岸、左手が左岸。

ここの堰堤は左岸側がほぼできていた。

半分が概成した樋口川の砂防堰堤(動画)

平野川

ここの砂防堰堤は那智川との合流点からそんなに遠いところにつくられているわけではないが、見上げるような高さだ。

見上げるほどの急斜面 平野川

見上げるほどの急斜面 平野川

本堤は4月に着工し、この11月に完成するとのこと。

本堤の前には二つの堰堤(副堤と垂直堤)がつくられる。

※副堤・垂直堤はほとんどの堰堤でつくられる。

平野川の砂防堰堤

平野川の砂防堰堤

 

金山谷川

金山谷川では2つの砂防堰堤が建設中だ。

那智川支川につくられる砂防堰堤の中でいちばん奥に位置しており、規模もいちばん大きい。

工事用道路をあがっていくと、大きな石がゴロゴロ。

「ここは大きな石がいっぱいで、すごいです」との大下さんの説明どおり、3~5メートルの物もある。

工事現場にあがる道路から(動画)

 

高さ1メートルはあった

高さ1メートルはあった

 

下流の第一堰堤

下流の第一堰堤

とにかくゴロゴロ。

とにかくゴロゴロ。

 

上流の第二堰堤

第二堰堤がつくられる岩盤に流れ込む水流

第二堰堤がつくられる岩盤に流れ込む水流

第二堰堤は那智川合流部から3~4キロ上流で、岩盤の上につくられる。

砂防堰堤2基をつくり、川らしく水の流れを集めるための工事は、すべて紀伊山地砂防事務所の仕事だ。

 

尻剣川

シュリケンガワと読む。

堰堤が整備される上流は、忍者がでてきても不思議でない。

尻剣川の砂防堰堤(動画)

紀伊山地大水害
崩落石でゴロゴロの那智川

2012 年 10 月 24 日 水曜日

見学2日目は、紀伊山地砂防事務所の那智勝浦監督官詰所からスタート。

たったひとりの詰所にいるのは、若い監督官だ。大下さんによると、単身者でやる気のある職員さんが選ばれたという。

那智山浄化センターに間借りしている監督官詰所

那智山浄化センターに間借りしている監督官詰所

那智川は土石流のため大きな石でゴロゴロ。河口はすぐそこなのに、砂防の山の中の河川のようだ。立山の常願寺川を思い出した。

あっちこっちに岩や石が積み上げてあるのは、これらを持って行くところがないかららしい。

 

那智川に注ぐ7つの支川では大量の土石流が流れ込み、大きな石で埋まってしまった。

元は幅2~3メートルの渓流だった!

紀伊半島大水害でもっとも人的被害が大きいのが那智川町。土石流が命も家も押しつぶした。

 

和歌山県から要請されて国交省が砂防対策工事を進めるのは、7つの支川。那智川に土石流が流れ込まないようにするのが、目的だ。砂防堰堤は、世界遺産という土地柄、コンクリートむき出しではなく石を貼るなどして、景観に配慮しなければならないらしい。

那智川流域に30年に一度の流量でも安全に流れるようにと、これも国交省で対策を検討している。

和歌山県も奈良県も、関西広域連合とは逆なのね・・・。

 

那智川支流 内の川

ここには砂防堰堤があったため、流れ出た土石流はなかり縮小され、対岸の民家までは達しなかった。

しかし役目を果たした堰堤は満杯(満砂)になった。砂防堰堤は満砂になっても役目を果たすが、そのちょっと下流に二つ目の砂防堰堤をつくっている。

 

那智川から内の川パン(動画)

この現場で難儀だったのは、現場に渡るための橋が古くて小さいこと。10トンダンプに耐えられるように橋を補強するという選択肢は、和歌山県によってNGが出され、土砂を積んだトラックのルートを変えなければならなかった。ルートを変えるとなると、近隣住民対策などが必要になる・・・。ということで、着工がずれ込んだ。

工事中の内の川はこのパイプ

那智川に架かる黒い橋。これが古い

 

紀伊半島大水害
崩壊斜面は急傾斜 野迫川村・北股

2012 年 10 月 23 日 火曜日

弘法大師・空海が高野山をひらくよう啓示を受けた場所とされる、立里岳の荒神社。毎夏のお参りドライブの馴染みの道を通って北股へ。

運転手さん、速いっ!

カーブだらけの道やんか!

到着したのは廃校となった北股小学校。いまは工事の現場事務所だ。通された部屋は、重機の遠隔操作をしていたところ。ここでは発災直後に作業員が崩落地に入って行くには危険すぎるため、重機をリモート操作する無人化施工をしていた。

ここで味噌汁をいただき、元気復活。いざ、崩落の頂へ!

小学校から頂まで高さ230メートル。そんなもん、登れまっかいな。工事用モノレールに乗った。

このモノレールは林業者が敷いていたレールを一部活用しているという。レールは心許ない太さで、小型の発発が我々を引っ張ってくれた。

工事用モノレールで北股のてっぺんに(動画)

工事用モノレールに乗って

工事用モノレールに乗って

崩落の頂はこの山の尾根にあたる。てっぺんからからドスンと崩れたのだ。せき止め湖は比較的小さく、かつすぐ下流に約30戸の集落があるため、土砂で埋められた。

 

崩落後は急斜面

北股の崩落後は急斜面

北股のてっぺんから(動画)

 

このてっぺんから降りた。

長靴も心許なかったが、登山靴より滑りにくい。意外だ。

崩落地はボロボロの地質で、驚いた。

ボロボロの土質(動画)

雨水が流れた跡があちこちで陥没している。

北股の崩落斜面 パン(動画)

こんな柔らかい地質だから、崩落跡地は緩い勾配にしなくてはならないと、大下さん。

「昨年度に砂防堰堤をつくりたかった」とのこと。
ここは、素人目にも砂防堰堤整備が急がれると、わかる。

ところで、熊谷組はこんなしゃれっ気がある。

工事事務所でもらった「熊谷グミ」

工事事務所でもらった「熊谷グミ」

役所が一冊の本を買うということ。

2012 年 9 月 29 日 土曜日

過日、兵庫県の河川整備課から「東日本大震災 語られなかった国交省の記録」の直売の注文書を受け取った。出版社からまわってきたものだ。

郵便局の振り込み書(出版社あて)を同封して一冊をメール便で送った。
そうすると、請求書と納品書が必要だと、いってきた。しかも、銀行振り込みとのこと。
出版社には電話で伝えたらしいが、申込書には何も書かれていなかったし、出版社からはたんにファクスが来ただけだった。

仕方がないので、わが社でそれらの書類をつくり、送った。

こんどは、わが社に電話があった。

「債権者登録の書類をつくって送れ」という。
「はじめに必要なことをすべていわずに、後から”これ、出せ、あれ出せ”と言うな。
もう、結構ですので、本を送り返してください。
本は書店でご購入ください」--思わず、言ってしまった。

NEXCOや他の役所、某民間企業も請求書や納品書を発行するよう、いわれたが、
債権者登録せよなど、はじめて。
しかも、「いっぺんに、言わんかい!」

で、送ってきたのが、これ。

職員が本を購入して、領収書処理をするなど、フレキシブルにやらんかい!

先方が書類をつくって、押印のみとしてきただけ、ましか(;へ:)

 

紀伊半島大水害
五條市大塔町赤谷

2012 年 9 月 22 日 土曜日

赤谷

ここの深層崩壊も大規模だ。
20120827赤谷CIMG3649

高さ600メートル幅400メートルが深層崩壊し、赤谷川をせき止めてしまった。
いわゆる土砂ダム、専門用語では河道閉塞だ。ここでは約900万立米の土砂が崩落した。
決壊すれば大量の土石流が下流に流れ出し、破壊する。
土砂対策法により、国交省の出番となった5つの土砂ダムのひとつだ。

緊急工事は土砂ダムにたまった水をおだやかに流す排水路をつくること。ここでは2年に一度の大雨でも安全に流れる規模で水路をつくっているという。
しかし、6月の台風で崩壊した斜面がまた表層崩壊し、せっかくつくった排水路を覆ってしまった。

20120827赤谷CIMG3653
排水路を覆った土砂はまだ残っていたが、すべて取り去らなくても良いらしい。